立地的制約/立地の優劣と商品構成

ホテルの商品特性/立地的制約
ホテルは空を飛ばない。
大変残念な話ではありますが、
冬はスノーリゾート、夏は南国のバカンスを提供できる宿泊施設は今の所ありません。
何故ならホテルは空を飛んで場所を変更することができないからです。
これがホテルの商品特性「立地的制約」です。
当然の話しではありますが、
ホテルは容易に移動できないという制約の中で営業しています。
春先のスノーリゾートや、冬のビーチなど、
需要がないからと言って、おいそれと引っ越しをすることはできません。
需要があろうがなかろうが、その場所でしかホテルはサービスの提供ができないのです。
この立地的な硬直はそのホテルのはじまりから終わりまで、基本的に変わることはありません。
冒頭でホテルは空を飛ばないと申し上げましたが、
実はこれはスペースシャトルでの宇宙旅行が一般的になったとしても条件は変わりません。
その場合、宿泊エリア(立地)「宇宙」が増えるという話になります。
立地的硬直という制約においては、スペースシャトルも宇宙という立地を変えることができないのです。
立地による優劣

もちろん立地には優劣があります。
アクセスだけを考えれば駅に近ければ近いほど優れているでしょうし、
駅から離れれば離れるほど劣っていると言えるでしょう。
リゾートホテルならばできるだけ自然を楽しめて
都市から離れている方が価値があると言えるでしょう。
……。
そうなんです。
立地による優劣はあれど、
その業態や商品構成によれば優劣は容易にひっくり返ります。
出張をするなら安く泊まれて駅に近いほうがいいですが、
家族旅行で同じようにホテルを選ぶかと言えばそれは違います。
だからこそ各施設、その立地だからこそできる商品構成を常に考えており、どのような価値をお客様に提供できるかを創意工夫しているのです。
立地的硬直を考える際、心がけたいことは一点です。
例えば、
「駅から遠いから駄目」なのではなく、
「駅から遠いからいいんだ!」という反対側にある価値を強力にPRすることこそが
ホスピタリティ産業に従事する我々の課題だということです。
今一度、自分の施設の強みが何か、弱みが何かを確認してみるといいでしょう。
弱みがあるなら必ず強みがあるはずです。
そしてそれこそがお客様に提供するBenefit(価値)になるはずなのです。
その他の立地的な硬直

施設の設備なんかも容易に変えることはできません。
レストラン、バー、エステサロン、大浴場、温泉、サウナ、プール等、
ホテルにもよりますが様々なサービスが提供できるように設備を整えているはずです。
レストランの場所を拡張しようにもなかなか難しいですし、
温泉施設を作りたいと言っても「じゃあ掘るか!」とはなりません。
お金が必要なことはなかなかスムーズに進みませんし、
ないものねだりをするよりも、いま自分たちに配られているカードを見定め、
何ができるかを考えるほうが有益と言えるでしょう。
老朽化という呪い

立地が変えられないということは建物もどんどん古くなっていきます。
建物だけでなく設備も古くなっていきますし、
新しい技術や設備を導入することもかなりお金がかかりします。
その間にも新しい施設がどんどん建っていくことがこの業界の怖いところです。
ピカピカの競合が増えることはもちろん脅威です。
エリアのベッド数が増えればそれだけ供給が増え、
新しい施設が選ばれることによりエリアの構成比も変わってくることでしょう。
キレイなお部屋のことだけを考えたら
古い施設よりもキレイな新しいホテルの方が選ばれやすいでしょう。
しかし宿泊業界は家電製品等と違って
新しいから絶対にいいというわけではないということも強く言っておきたいです。
ファン(リピーター)の数や、洗練されたサービス、
OTA等のクチコミやステークホルダーとのコミュニケーション、
新しい施設には”まだない”強みを古い施設はたくさんあるはずです。
だからこそ、
日々のサービス向上や顧客管理や業務姿勢が重要になってくるのですね。
日進月歩で進化し、強者たちが跋扈する宿泊業界において
お客様の喜ぶ姿こそがホテルの生き残りにかけられる最大のリソースと言えるのかもしれませんね。