人単価(Price per person)/売上向上に直結する「人単価」とは?

1.人単価って……?

ホテルの重要指標というと、ADR、OCC、RevPerがポピュラーですが、ホテルの経営陣や予約担当あたりが上記指標と同じくらい気にしているのが「人単価」でしょう。

何故なら人単価はその施設の売上の基礎を成す数字であり、戦略を組み立てる際の根幹に根付く指標といえるからです。

呼び方についてですが、人単価を英語にすると「Price per person」となりますが、日本ではあまり一般的ではありません。
人単価は人単価と呼んでおいた方が多くの人に伝わるかと思われます。

他にもPer headと称されるところも見かけますが、ここら辺は正直、好みによるものだろうというところです。

2.人単価の計算式

総客室販売収入 ÷ 宿泊人数 = 人単価(Price per person)

ADRの計算式とほぼ同じですね。
オンハンド表を作成している場合は以下の表のように付け足すと単価の推移を負いやすくなります。

オンハンド表で人単価を確認できるようにすることで、明らかに単価が取れていない日程、あるいは過度に単価が高くなっていて室数が伸びていない日程を確認し、販売戦術を組みなおす指標としても使用できるでしょう。

日付 販売客室数 客室売上 宿泊延人数 人単価
1月1日 90 1480000 210 7048
1月2日 78 1250000 180 6944
1月3日 63 780000 112 6964
1月4日 34 330000 62 5323
1月5日 58 600000 90 6667
1月6日 59 800000 102 7843
1月7日 42 350000 84 4167
合計 424 5590000 840 6655

3.人単価とADRの違い

人単価: 一人当たりの平均売上。
ADR: 一室あたりの平均売上。人単価とDORを掛け合わせることで算出されます。

上記のように人単価はADRの構成要素の一つです。
ADRは「人単価 × DOR(平均客室人数)」によって算出されます。

要するにADRという箱の中に人単価が存在していると考えると分りやすいかもしれませんね。

ということでADRを上げようと考える場合、まず第一に考えることが人単価のコントロールとなります。

ホテル業界ではダイナミックプライジング(市場の需要と供給に応じて、商品やサービスの価格を頻繁に変える価格戦略)が採用されており、レベニューマネージャーは需要予測に基づきながら、単価をコントロールし、ホテルの収入を最大化することが一般的です。

ただ価格を上げるということではなく、適切な価格でお客様にお部屋をご提供できるように、日々調整していくことが必要です。

価格と価値に関する問題点は以下の記事をご参考ください。

4.経営的な側面

上記の他、人単価は単なる数字としてだけでなく、お客様がその価格に納得して予約に至った結果であり、ホテルに対する賛同票と考えることができます。

このため、人単価の推移を月別で年間を通じて記録し、数年にわたってどのような動きをしているかを確認することは非常に大切です。

重要な点として、人単価が単に上昇しているだけではなく、それが施設の価値を反映しているかどうかです。

例えば、人単価が前年に対して上昇傾向にある一方で、ホテルの売上も増加している場合、これはホテルが価値を高めつつ、顧客からの高い評価を獲得している証拠となります。

しかし、人単価が下がり、売上も減少している場合は、市場における価格競争に傾倒していないかを確認し、ポジショニングやブランド価値の見直しが必要かもしれません。

また、人単価が安定していたとしても安心はできません。
人単価が横ばいで売上が減少している場合は、市場での競争力の低下に問題が生じている可能性があります。

このように、人単価の推移とホテルの売上の動向は、ホテルが市場でどのように位置づけられ、どの程度の競争力を持っているかを示すバロメーターとなります。

単なる数字のコントロールにとどまらず、ホテルのブランディングや市場戦略を練ることが、経営上の成功に繋がるのです。

以上のように人単価はホテルの売上の根幹に根付く指標である他、ホテルがしっかりと成長軌道に乗っているのか、あるいは市場競争における問題が生じていないかを確認するための重要な指標の一つといえるでしょう。

ただし、一つの指標だけですべてを判断するのはとても危険なことです。
広い視野を持って様々な指標を確認しながら全体を分析するようにしましょう。