Restriction (リストリクション)/ 販売制限をかけて売り上げをアップしよう!

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ホテルの売り上げをアップするのに使えるRestriction

Restriction (リストリクション) って……?

ホテルの商品特性の一つに数量的制約を以前ご紹介したと思います。

夏休みやお盆・年末年始・GW等、需要が高まるシーズンでも100室しかないホテルは100室しか販売できません。

だからこそ需要の変動にあわせて販売価格を上げて売り上げを伸ばすわけですが、売り上げを伸ばす手段は価格だけではありません。

戦略的にRestriction /リストリクション(販売制限)をかけて商品やお客様の選別をすることで飛躍的に売り上げを上げていくことができます。

それではRestrictionの種類を確認していきましょう!

1.人数制限

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コロナ禍において一人旅の需要が増えたとはよく聞く話ですが、繁忙期に一人旅が必要かどうかは施設によってもまちまちかと思われます。
ただ、まあ、大晦日にビジネス一人旅プランはさすがに不要ですよね?

ADRを構成する要素として「人単価」と「人数」があげられます。確実に需要高で満室が予想される日程に関しては人数制限を行い、2名以上のみの予約を受け付けることで売り上げをアップすることができます。

また、残り数室となった状況であれば、定員のみの予約を受け付けるようにすると限られたお部屋を有効に販売していくことができるでしょう。

私自身が独り者なのでとても悲しい気持ちにはなりますが、繁忙期は心を鬼にしてDOR(平均客室人数)を上げることを優先すべきでしょう。

注意点として、国内OTAはその人数の料金帯に0円で登録すれば売り止めになりますが、海外サイトは人数売り止めができない仕様となっている場合があります。
対策として海外サイトの販売をチャネルごと止めてしまうという方法があります。

2.チャネル制限

残室が少なくなってきたときによく使われる手法ですが、自社サイト以外のすべての販路の提供客室を売り止めにしてしまう方法です。

こうすることによりエージェント・OTAの手数料をカットすることができます。

ただし自社サイトのみにした場合、販売力は一気に落ち込みます。
確実に売り切る自信がない場合もあると思いますので、事前に手数料率の高いチャネルをピックアップしておき、優先して売り止めをするチャネルを決めておくことをおすすめします

あくまでコストカットがメインとなる制限ではありますが、自社サイトの比率を上げるためにはとても有効でしょう。

3.プラン制限

現在は様々なチャネルで様々な割引が行われております。
早期割引や特有のSALEなどがそれにあたります。

本来は割引などしなくても十分に部屋を埋められるような日程であれば、早期割引もキャンペーンも不要のはずです。

なので可能な限り需要の高い日程は割引プランが販売されないように努力をするとよいでしょう。(キャンペーン内容によっては特定日の売り止めを認めないというものもあるので注意が必要です)

また海外サイトに多い会員限定プログラムなどは特定日の除外ができないものがあるのでその場合はチャネルごと制限をかけるのも一つの方法でしょう。

お盆や年末年始にわざわざ割引やポイント〇倍なんてやりたくないですよね。
なのでそういった日程はスタンダードプランのみの販売を目指したいところです。

4.泊数制限

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最低泊数を制限することによりLOS(平均滞在日数)を高め、売り上げを上げる手法です。

残念ながら国内OTAだとこの制限をかけられる機能は見かけません。逆に海外OTAだと泊数制限の機能があったりします。

国内サイトで泊数を制限する手法としては専用の連泊プランを作成し、その日程はそのプランしか販売しない、などになるかと思います。正直手間がかかるので積極的に実践しづらいとは思いますが……。
夏休みなどのロングスパンは難しいかもしれませんが、年末年始専用プランなら以外とやりやすいかもしれませんね。

インバウンドなんかは滞在日数が国内旅行よりも長い傾向にあるので、海外サイトのみにこの制限をかけるやり方もありかもしれません。

5.チェックイン・チェックアウト制限

特定日のチェックイン、或いはチェックアウトを制限してしまうテクニカルな制限です。

特に需要の高い日程に効果を発揮する制限で、例えば12月31日からのチェックインは受け付けないというものです。
そうなると12月30日から連泊で予約を取らなくては12月31日に宿泊ができなくなります。

またチェックアウトも1月1日のチェックアウトを受け付け不可にすることにより1月1日も宿泊をしなければ予約が取れない状況を作ることができます。

こちらの制限も国内OTAでは設定はできません。Agoda、Booking、Expediaあたりなら設定できたはずです。どちらかというと国内旅行ではなく海外向けの運用になるかと思います。

販売制限は諸刃の剣

販売制限は売り上げを飛躍的に向上することができるテクニックですが、需要を読み間違えると逆に売り上げを下げてしまうことにもなりかねない諸刃の剣です。

特にコロナ禍ではあまり使用する機会もなかったりするのですが、連休や長期休暇など、数少ない需要高の日程をどのように販売していくのかを考えることは極めて重要です。

おすすめは1~3の国内サイトでも対応できる比較的わかりやすい制限に抑えることでしょう。人数売り止めだけでもかなりADRにいい影響を与えることができます。

連泊制限や到着日制限などはギャンブル性が高く、設定も面倒……手間がかかるので、かなり需要が高くない限りはおすすめできません。
例えば「コロナ前の冬のニセコレベル」でこの手のRestriction がかけられている様子を見かけることがあったくらいです。

ということでまずはサイトコントローラー上で「人数制限」「チャネル制限」「プラン制限」をスムーズにかけられる環境を作りましょう

ただし上述の通り、制限をかければかけるほど販売能力自体は落ちていきますので、「必ず全てを同時に実行する」のではなく、「まずは人数制限から」等、段階を分けて戦略を立てていくことをお勧めします。

Restrictionは限られた状況にのみ使用できる必殺技くらいの気持ちで使いましょう!