リードタイム2 / 需要と供給によるリードタイムの変化

需要と供給によるリードタイムの変化を注視しよう!

レベニューマネジメントにおいて、需要と供給の変化は非常に重要な要素となります。需要と供給が変化することで、お客様がホテルを予約するタイミング……いわゆるリードタイムも変化していくからです。

以下の記事では主にセグメントにおけるリードタイムの違いを簡単に説明しておりますが、今回は更に踏み込んで、需要と供給によるリードタイムの変化について解説していきます。

露天風呂付客室とスタンダードルームのリードタイムの違い

露天風呂付客室を10室、スタンダードルームを90室保有している施設において、どちらの客室タイプが先に売れていくかを考えてみましょう。

露天風呂付客室といえば国内の検索キーワードでもトップクラスの人気客室タイプです。温泉がついているだけでなく設備も素晴らしく、高級感があり、価格帯もハイクラスであることが特徴です。

一方スタンダードルームは、露天風呂付客室に比べて価格が安く、設備もシンプルなため、幅広い顧客層に需要があります。

両部屋タイプには以上のような特徴がありますが、重要なのは需要と供給です。

露天風呂付客室は需要が高いうえに供給が少ないため、早く予約をしないと希望の日程で宿泊ができなくなります。そのためリードタイムは長い傾向にあり、早期に受注が入るケースが多くなります。

一方、スタンダードルームは部屋数も多く、需要が少ないシーズンであれば、一週間前でもまだ予約が取れる可能性が高く、リードタイムは短くなります。
更に付け加えるのであれば一般的なスタンダードルームであれば、万が一満室で予約が取れなくともほかの施設でいくらでも代替えがききます。
そういった観点からもスタンダードルームのリードタイムは短いといえるでしょう。

このように、一つの施設の中でも部屋タイプでカテゴライズするとリードタイムに差が生じていることがわかります。

収益を伸ばしていくためには?

露天風呂付客室などのプレミアルームが早期に予約が動いていく傾向にあることを説明しました。

この特性を鑑みて、収益を伸ばすにはどうしたらよいかを考えてみましょう。

  1. スタンダードルームなどの短いリードタイムの部屋タイプは早期特典付きのプランなどを提供することで長いリードタイムで優位性をつける
  2. プレミアルームはもともと長いリードタイムを保有していることから無駄なディスカウントをしないように注意する。1の早期特典プランにプレミアルームを紐づけてあるのであれば、予約の入り方を確認し、紐づけを解除するかどうかを検討してみる。
  3. プレミアルームの売れ行きから需要を予測する。ノーマークの日程で早期にプレミアルームが埋まっていた場合、エリアにおいて見逃しているイベントがないかをチェックすることで、適正価格を導き出すことができるかもしれません。

1はプラン提供についてで、ほとんどの施設が早期特典プランを販売しているはずなので問題はないかと思います。

2については、不要であればディスカウントプランからプレミアルームを外した方がホテルの収益を伸ばせる可能性があります。
もちろんもう少し稼働を上げたい場合は外す必要はありません。

3についてはプレミアルームの売れ行きから需要を予測し、価格を見直すという手法で、たまに早期で高い需要を見抜くことができることもあり、少しでも室単価を上げることでより多くの収益を獲得できるチャンスが生まれます。

リードタイムは長めに持つことが大切!

ホテルセールスにおいて、リードタイムは「顧客セグメント」や「需要と供給」により大きく変化することを解説いたしました。

ホテル側からしたらリードタイムはとにかく長いにこしたことはありません。
リードタイムを長く持つことでOHの把握や、長期的な戦術の策定にかける時間を稼ぐこともできます。

ともするとリードタイムにおいて最も重要なことは在庫が常に出ている状況を作ることが望ましいのです。

半年しか在庫を出していない施設と、1年以上在庫を出している施設では圧倒的に後者の施設の方がリードタイム上で優位です。

OTAで1年後の日程を検索した際、前者は検索にすら表示されないのですから。

ということで、お部屋の在庫は常に1年以上だしておく、というのがリードタイムの最も重要な戦術となります。