OOO(Out Of Order/アウトオブオーダー)/売止・販売不能

OOO(アウトオブオーダー)って……?

アウトオブオーダーとは、一般的には「売止」と称されており、客室や施設の一時的な利用を停止することを意味しています。

売止を実施する要因は、主にメンテナンス、改装、修理、クリーニングなどの目的で行われます。

大体の場合は「故障部屋」として売り止めをすることが多いですが、コロナが過ぎ去って人手の少ない中では、清掃が間に合わず「未清掃」として売り止めになることもあるかもしれませんね。

呼称はアウトオブオーダー、或いは売止と呼ばれており、オーオーオーと呼ぶ人はおそらくあまりいません。
記述はOOOと略されることが多いですが、言葉にすると喧嘩を売っているようにも聞こえますのでご注意を!

OOOは特に客室稼働率(OCC)に影響を及ぼします。
具体的にどのような影響があるかを覚えておくといいでしょう。

1. アウトオブオーダーを加味した稼働率の計算式

 

販売済み客室総数 ÷ (販売可能客室総数 - OOO客室数) = OCC(OOOを加味した客室稼働率)

OH表に追加するのであれば以下のように追加できます。

日程 販売可能客室数
(100室)
OOO
(売り止め室数)
実販売可能室数
(販売可能客室数-OOO)
販売客室総数 OCC
(販売客室総数/実販売可能客室数)
OCC
OOOを加味しない場合)
10月1日 100 5 95 80 84.2% 80.0%
10月2日 100 0 100 98 98.0% 98.0%
10月3日 100 10 90 88 97.8% 88.0%
10月4日 100 3 97 60 61.9% 60.0%
10月5日 100 0 100 70 70.0% 70.0%
10月6日 100 0 100 68 68.0% 68.0%
10月7日 100 8 92 50 54.3% 50.0%

上記表はわかり安くすべての項目を記載していますが、固定値である販売可能客室数や計算式で省略できる実販売可能客室数の列は省略することができます。

表を見てもわかる通り、OOOを加味した場合、売り止めが発生している日程は通常のOCCよりも高い数値になることが分かります。

問題点としては、その売止が本当に稼働率に影響を与えたのか、という点です。

例えば、10月7日のOOOは8室で、販売室数は50室、販売に至らなかった部屋数は42室となっております。この場合、OOO8室がなければもっと部屋が販売できたかと考えると、おそらくその可能性はないと言えます。実販売可能室数が100室であれ92室であれ、販売できた部屋数は50室であろうと考えるほうが自然と言えるからです。

翻って、10月3日はどうでしょう?
10室のOOOで実販売可能客室数は90室。販売できた部屋数は88室です。
この場合、予備部屋を確保するために残2室で販売を止めることもオペレーション上ありえます。
上記を加味するとこの日程のOOO稼働率に影響を与えたと言えるでしょう。

2. アウトオブオーダーは稼働率に加味すべきなのか?

前述した通り、OOO稼働率に影響したりしなかったりするのが困ったところです。

では実際に稼働率はどのように計算すべきだろうかと考えると、一貫性がとても重要と言えるでしょう。

それまでその施設、あるいは会社ではどのように稼働率を計算していたかを確認しましょう。そして、その計算に合わせるのが最善と言えます。
なぜなら昨年対比などをおこなう場合に計算の仕方が変更されていると、正しく分析ができない可能性が生じるからです。

ただし、大規模なリニューアルなどで長期間、多くの部屋の販売ができない場合などは、OOO稼働率計算に含むことを検討すべきでしょう。

このような場合、OOOを考慮せずに計算すると、一時的に極端に低い稼働率が示されることになります。この場合、たとえ同じ計算方法でも昨年対比で見て外れ値となり、分析が難しくなるリスクが発生します。このリスクを回避するために、メンテナンスなどで長期間のアウトオブオーダーをかける場合は稼働率計算に加えたほうが自然になるかと思われます。

3. 故障部屋のリスク回避について

 

アウトオブオーダーの中でも特に注意が必要なのが、故障部屋です。特に故障部屋によるOOOでタイプオーバーした場合、予約済みの客室タイプから他の客室タイプへの変更が余儀なくされます。プレミアルームの故障の場合、振替が厳しい場合もあります。
これにより、お客様に多大なるご迷惑をおかけする可能性が生じます。

ともすれば定期的な客室メンテナンスは、故障部屋を最小限に抑えるために不可欠です。客室カルテを1室ごとに作成し、各部屋のメンテナンス履歴や問題点を正確に記録することがとても重要と言えます。これにより、将来の予防措置や改善策を効果的に導くことができます。

お部屋のメンテナンスをしっかりと行い、できる限り故障部屋でのOOOが発生しないようにすることで、販売機会の損失を防ぐだけでなく、クレームやイレギュラー対応の回避にも繋げることができます。

稼働率の計算については施設によって考え方は異なるかもしれませんが、上記理由によりOOOの室数を計測し、自施設で一月にどの程度の売止が発生しているのかを把握してみてもいいかもしれませんね。

4.アウトオブオーダーに対する考え方

これまではホテルセールスにおけるアウトオブオーダー(OOO)への考え方を示しましたが、アウトオブオーダーは、セールスに限らず、ホテル運営において欠かせない概念の一つです。客室や施設の一時的な利用停止は、メンテナンスやクリーンアップ、リニューアルなどを行うための重要な手段です。

アウトオブオーダーは単なる売止だけでなく、適切なホテル運営と顧客満足度向上のための一環として捉えるべきです。適切な計算と定期的な施設管理によって、ホテルの収益最大化と顧客体験の向上を実現していくことを目指しましょう。

アウトオブオーダーを正しく理解し、適切に活用することで、ホテル運営の質を向上させる手助けとなることでしょう。