ROH(Run Of House/部屋タイプ指定なし):ROHの利点とは?予約担当者の戦略としての活用法

1.ROHって……?

Run Of House(以下ROH)とは、「部屋タイプ指定なし」という部屋タイプのことを指します。

OTAなどを見ていたら「部屋タイプお任せ」などの部屋タイプを見たことがあるかと思われます。
この部屋タイプを販売することをROHと言います。

お客様がこの部屋タイプの予約を取った場合、部屋タイプを選ぶことができず、チェックインするまでどのような部屋に宿泊するかが分かりません。

それと引き換えにROHは通常の部屋タイプと比較して、価格が安く販売されています

さて、なぜ価格を安くまでして予約担当者はこのプランを販売するのでしょうか?
それは、ROHは予約担当者にとって非常に扱いやすく、困ったときに助けてくれる相棒のようなお部屋タイプだからです。

今回はそんなROHのお話です。

2.ROHの効用

ROHの主な効果
  1. 在庫コントロールの容易化
  2. 稼働率対策

ROHを使用することで在庫コントロールは飛躍的に楽になります。

例えば、シングルルーム(定員1名)、ダブルルーム(定員1-2名)、ツインルーム(定員2-3名)、スーペリアルーム(定員4名)の部屋タイプがあったとしましょう。

それぞれの部屋タイプには定められた定員があり、通常は別々に販売されています。

これをROHで販売するとどうなるでしょうか?
ROH(定員1-4名)の部屋タイプが販売されることになります

こうすることで1名で予約が入ったらシングル、2名ならダブル、4名ならスーペリアといった感じにホテル側で好きにアサインしていくことができるようになります。

そしてROHはホテルの最低価格で販売をするため、価格的な訴求力を増加することで稼働率対策にも役立ちます

と、上記のような効果から考えて、ROHは直近の稼働率対策として残っている部屋を有効活用するのに使用できる戦術といえるでしょう。

3.ROHの注意点

部屋タイプは分かれる可能性がある

使い勝手がいいように見えるROHですが、必ず「お部屋が分かれる可能性」についても記述しておく必要があります

例えば4名部屋がすでに満室になってしまっている状況で、ROHで4名予約が入った際、2名×2部屋、或いは1名1室、3名1室に分けるなどのアサインが必要となります。

お客様は4名1室で宿泊できると思い込み予約をしてくるケースがあります。
その予防線として上記の記述は忘れないことです。

もしもチェックイン時にもめるようなことがあっても、その記述を確認していただくことで大体の問題は解決できるでしょう。

間違えた稼働率対策

また冗談のような本当の話として、ROHで4名の予約が入った際、4名1室が残っているにも関わらず、シングル4室でアサインをしてしまった、なんて話を聞いたことがあります。

もちろんこうすることで稼働率は増加しますが、格安である4名1室の1名料金で1室ずつ販売することになりますからADRに著しく悪い影響がかかります。

4名1室でアサインすればADRは上昇する可能性もあり、また、清掃コストも1室で済むのですから、こういった無駄な稼働率対策をしないように注意しましょう。

4.最後に……

ROHをする理由は「安く売りたい」ところにあります。

こうなる要因としては、

  • 需要予測を間違えたレーティングをしてしまった
  • 直近で大型の予約が溶けてしまった
  • 競合のレーティングが暴落し、BARの変更が余儀なくされた

などが考えられます。
要するに不測の事態に対して有効な懐刀として「ROH」を使用することが多いです。

なので、実際にはROH込みで戦術を考えるのではなく、販売戦略に沿った戦術を使用しながら、不測の事態に対する最終手段として使用する、というところに落とし込んでおくといいかもしれません。

もしもまだROHの部屋タイプを作成していないのであれば、上記の事態に備え、作成だけはしておき、いつでも販売できるように準備しておくといいかもしれませんね。

人単価(Price per person)/売上向上に直結する「人単価」とは?

1.人単価って……?

ホテルの重要指標というと、ADR、OCC、RevPerがポピュラーですが、ホテルの経営陣や予約担当あたりが上記指標と同じくらい気にしているのが「人単価」でしょう。

何故なら人単価はその施設の売上の基礎を成す数字であり、戦略を組み立てる際の根幹に根付く指標といえるからです。

呼び方についてですが、人単価を英語にすると「Price per person」となりますが、日本ではあまり一般的ではありません。
人単価は人単価と呼んでおいた方が多くの人に伝わるかと思われます。

他にもPer headと称されるところも見かけますが、ここら辺は正直、好みによるものだろうというところです。

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OOO(Out Of Order/アウトオブオーダー)/売止・販売不能

OOO(アウトオブオーダー)って……?

アウトオブオーダーとは、一般的には「売止」と称されており、客室や施設の一時的な利用を停止することを意味しています。

売止を実施する要因は、主にメンテナンス、改装、修理、クリーニングなどの目的で行われます。

大体の場合は「故障部屋」として売り止めをすることが多いですが、コロナが過ぎ去って人手の少ない中では、清掃が間に合わず「未清掃」として売り止めになることもあるかもしれませんね。

呼称はアウトオブオーダー、或いは売止と呼ばれており、オーオーオーと呼ぶ人はおそらくあまりいません。
記述はOOOと略されることが多いですが、言葉にすると喧嘩を売っているようにも聞こえますのでご注意を!

OOOは特に客室稼働率(OCC)に影響を及ぼします。
具体的にどのような影響があるかを覚えておくといいでしょう。

1. アウトオブオーダーを加味した稼働率の計算式

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企画旅行と手配旅行の基礎知識

基本知識:企画旅行と手配旅行の違い

企画旅行って?

企画旅行とは、旅行会社が独自に企画して、宿泊施設や交通機関、観光プランなどを含めたパッケージ商品を販売する旅行のことを言います。

これは、旅行者が旅程を決める手間を省き、旅行会社が旅程を組んでくれるため、手軽に旅行を楽しめることができるメリットがあります。

その土地の有名な観光名所やアクティビティなども考慮されたツアー商品となるのでまず間違いの少ない旅行が楽しめるでしょう。

ただし、旅行内容はあくまでも旅行会社が決めているものなので自由度は低いものといえるでしょう。

手配旅行とは?

手配旅行とは、旅行者が自分自身で旅程を決定し、それに必要な宿泊施設や交通機関、観光プランなどを個別に手配する旅行のことです。

これは、旅行者が自分自身で旅程を決めることで、より自由度が高く、自分に合った旅行を楽しむことができるメリットがあります。

現在の国内旅行であれば、こちらの手配旅行が主流となっております。

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BAR(Best Available Rate/ベストアベイラブルレート)

1.BARって……?

ホテルのお仕事に携わっていると「バー料金」或いは「バー」という言葉を耳にすることがあります。

ここでいうバーとは、お酒を飲む場所ではなく、Best Available Rate、いわゆるBAR(バーと発音する)のことを指します

BARとは、最低価格を意味をしており、全てのお客様が制限なく予約することのできる料金のことをいいます。

要するに、早期割ですとか返金不可ですとかRun of the House(お部屋お任せ)などの、何かしらの制限をかけた上で予約可能な料金ではなく、ノーマルプランでの最低価格のことをBAR料金と呼びます。

BARは、レベニューマネージャーが持つ刀のようなもので、ダイナミックプライジングが採用されているホテル業界においては、いたるところで施設同士のBAR料金によるつばぜり合いの音が聞こえてきます。

BARはそれくらいホテル業界において重要な役割を果たしています。

競合施設のBAR料金を確認しポジショニングを決定する

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最近話題のChat GPTで口コミの返信が可能かを試してみた

「ChatGPT」を使用して口コミの返信は可能なのか

今話題の対話型人工地のツール「ChatGPT」。

多種多様な質問に瞬時にこたえることができ、フレームワーク分析や用語の解説はもちろん、プログラミングやブログの執筆などもいともたやすくできてしまうという代物で、人類滅ぶのでは? という気持ちで若干心臓がざわついている次第であります。

とはいえこのツール、ホテル運営にもいろいろ使えそうではありますが、今回は口コミの返信が可能かどうかを試してみました。

口コミ返信の実例

それでは早速、☆1、☆3、☆5の評価と、ChatGPTが書いた返信例を見てみましょう。
ちなみに口コミもChatGPTに書いてもらっています。

  1. ☆1の口コミ

    ☆1口コミ返信例
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リードタイム2 / 需要と供給によるリードタイムの変化

需要と供給によるリードタイムの変化を注視しよう!

レベニューマネジメントにおいて、需要と供給の変化は非常に重要な要素となります。需要と供給が変化することで、お客様がホテルを予約するタイミング……いわゆるリードタイムも変化していくからです。

以下の記事では主にセグメントにおけるリードタイムの違いを簡単に説明しておりますが、今回は更に踏み込んで、需要と供給によるリードタイムの変化について解説していきます。

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