無形性/カタチのない商材

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目には見えない”モノ”を売るということ。

「お部屋」ってなんだろう?

ホテルは何を販売しているのか?
多くの人が「お部屋」と答えます。
では「お部屋を売る」とは何かを考えると答えが多岐に渡ることに気付かされます。

  • 出張の際の宿泊先
  • 恋人の誕生日のお祝いに
  • 夏休みの家族旅行
  • 年末年始やお盆の帰省
  • 会議や大会などへの参加の為

上記のように一言にお部屋を売ると言ってもお客様が求めるシーンは様々です。

とにかく安く休める場所を求めてる人もいれば、思い出づくりの旅行のためのお部屋を探している人もいますし、そもそもホテルの部屋にはさほど興味がなくて周辺の観光を目的にしている人なのかもしれません。

なぜ答えが一つにならずモヤモヤとしてしまうのでしょうか?
それは、ホテルが販売している「お部屋」には「形」がないからなのです。

例えば服屋さんは衣料品を販売しています。
当然服を買えばお客様は服を得ることができます。
ですから服屋さんは「服を売っている」で完結できます。

ホテルの場合はどうでしょう。

お客様はホテルに泊まりますが手元には何も残りません。
しかし、何も手元には残っていないが大体の場合、お客様は満足して帰るのです

なぜこのような事が起きるのか?
不可分的制約の際にも少し触れましたが、サービス業のほとんどが上記のように無形の商材を販売している業界だからです。

※不可分的制約については以下のリンクで説明しております。

形のない商材の正体とは……?

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形のない商材には以下のようなものがあります。

上記商材を購入する際、お客様は何を得ているのでしょうか?
それは「モノ」ではなく、「コト」であることがわかります。

”知識”を得たり”思い出”を得たり”利便性”を得たり”安心”を得たり、形は有りませんが確かにお客様は目には見えない「コト」を得ていることがわかります。

これが無形の商材の正体です。

無形の商材の取り扱い注意事項

形のあるものならなんとなく使用イメージも想像しやすいのですが、目には見えない商品を”買う”という行為はとてもリスキーなことと言えます。

本当にその価格に見合ったサービスを受けられるのか?
本当に写真にあるような料理が提供されるのか?

有形の商品と違い、無形の商品を購入する際は不安がつきものです。

そういったこともあり、お客様の不安を解消するために情報発信がとても重要になってきます。

このホテルに宿泊することでどのような滞在ができるのか? どのようなサービスを受けることができるのか?
正しく情報発信をすることでお客様の不安を取り除き、予約につなげる努力がホテルセールスには必要なのです。

またその逆に、あまりにもよく見せようと大げさに情報を発信してしまうと、イメージとの差異が発生し悪い口コミやクレームにも繋がりますので情報を発信する際は事実をできるだけシンプルに伝える努力をしたほうがよいでしょう。

形のないモノに見合う料金とは

商取引は支払う対価よりも得られる価値が高い場合にのみ成立します。

お客様がホテルを10,000円で予約をしたとしたら、そのお客様はそのホテルから10,000円以上の価値(サービス)を受け取ることができると判断した為と言えるでしょう。

ホテルもお部屋を貸し出すことによってお客様から10,000円を得ることできます。

このようにお互いがWin-Winだからこそ商取引は成り立ちます。

ですがサービス業は無形の商材という特性のために、お客様が想定した価値を受け取ることができないという状況も残念ながら少なからずあります。

ですから定期的に自分たちの提供しているサービスの品質を見直したり、価格を修正したりして、お客様・ホテルともに損のない取引ができるように準備していく必要があるのです。
何故ならサービス品質は落ちているのに料金は上がり続ける、なんてことも無形の商材ならありえることだからです。

形が見えないものを売っているからこそ、お客様に何を提供できているのか、何ができていないのかをしっかりと把握をし、お客様に不満に思わないような、適切な料金で販売することを心がけていきましょう。